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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

雨の京都で下書きをする

 久しぶりに万年筆を買った。
 僕との相性の良さを中心に、いくつかの条件をもっとも高いところで満たしているのはペリカンだから、今回もペリカンにした。まったくおなじ種類のを三本。軸もキャップも透明なプラスティックで出来ている、スケルトンと呼ばれているタイプだ。ペン先は中字だ。おなじ中字でも三本それぞれに書き味は微妙に異なる。万年筆はこのあたりがまず面白い。
 三本それぞれに異なる色のインクを入れてみた。気分が替わっていいか、と思うからだ。ブルー・ブラック。ロイアル・ブルー。そして、単なる黒。どれもペリカンのイ…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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