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片岡義男.com 全著作電子化計画

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書評

ブックストアでのめぐり逢い

ー面白い本を夢中で読んでいくときの、その楽しさや面白さのもっとも中心になるものは、なにだと思いますか。*
 ここに一冊の本があって、その面白さは保証されているとして、たとえばぼくがその本を読むなら、その本だけを読む、ということは不可能なのです。まるで読みとり機械みたいに、その本のなかに書いてあることだけを、ほかのことはいっさいなしに、それだけを読んでいくことは、幸いなことに人間の頭には出来ないのです。
 その本を読みつつ、その人は、頭のなかにじつにさまざまなことを記憶のなかから呼びもどしつつ、読んでいくので…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『本を読む人』太田出版 1995年
『『片岡義男〔本読み術〕・私生活の充実』シリーズ《日常術》』晶文社 1987年所収

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