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評論・エッセイ

知らない町を歩きたい

 どこか知らない町を歩きたい、という気持ちが僕のなかにほとんどいつも、かなり強くある。かなり強いから、たんなる気持ちを越えて、それは願望だと言ったほうがいいと思う。きわめて平凡な日の午後の曖昧な時間、自宅にいて静かになにごともなく過ぎていく時間のなかで、ああ、知らない町を歩きたい、と思う。雨模様の日、あるいは雨が降っている日に、そう思うことが多い。知らない町と雨とは、僕の内部で、なんらかのかたちないしは意味で、結びついているようだ。
 知らない町とは、なにだろうか。急行電車に乗って二時間もいけば、そこは知らない町だ。どの方…

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