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書評

消えた東京はゼニ・カネのために消えた

〈書評〉富岡畦草、富岡三智子、鵜澤碧美著『変貌する都市の記録』

 写真に撮られた場所はまだあるだろう。しかしその場所にかつてあった建物、建造物、人、自動車など、もはやいっさい、どこにもない。どこへ消えたのか。1950年代、60年代を中心にした景色だから、いまから48年から67年前のものだ。時間のなかへ消えたのか。消えるとは、どういうことなのか。
 現物は消えたけれど、それらの景色を撮影した写真は、そのままに残っている。そしてそれらの写真は素晴らしい。だから僕はその写真を見る。ただ単に見るので…

底本:『週刊朝日』2017年11月17日号