その重荷を背負う|アビーロードのB面
彼はひとりで町を歩いていた。彼のすぐ前をふたりの男性が歩いていた。彼らは親しい友人どうしのようだった。彼とおなじような年齢、そしておなじような服装だった。
ふたりの会話が、すぐうしろから歩いていく彼に、断片的に聞こえた。
「そりゃあ、大変だ。きみはその重荷を、背負っていかなきゃいけないんだね」
ふたりのうちのひとりが、もうひとりに対して、そう言った。そして、ほとんどおなじ言葉をくりかえした。
「大変だよ、その重荷をきみはこれから背負っていくんだから」
底本:『…
底本:『アール・グレイから始まる日』角川文庫 1991年
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