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評論・エッセイ

ふたりは一九六六年を思い出す

 ビートルズが日本に来たとき、ぼくはいわゆる「社会人」となって仕事をしていた。フリーランスのライターとして、いろんな雑誌に文章を書くのが仕事だった。親しく仕事をしていたある雑誌の編集員から、ビートルズの記者会見にいかないかと、ぼくは誘われた。あるいは、ビートルズの記者会見にいってきてくれないか、と頼まれた。どちらだったか、記憶はあいまいだ。
 ぼくは、ビートルズの記者会見に、いかなかった。ほかに用があったからだ。当時のぼくにとって、大事な友人であったある女性が、ビートルズの記者会見のあったその日、日本からアメリカへいくこと…

底本:『きみを愛するトースト』角川文庫 一九八九年

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