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エッセイ

イマジン、のひと言につきた

 ジョン・レノンの名前を見たり聞いたり、あるいは彼についてふとなにかを思ったりするとき、僕はまっ先に頭に思い浮かべるのは、一点の絵だ。ジョンがまだリヴァプールでアート・スクールの学生だった頃、同級の女性がジョンの肖像画を描いたことがあった。背もたれのあるごく普通の椅子に、逆むきにすわったジョン・レノンの全身が、その絵のなかにとらえてある。黒いブーツにおなじく黒に見える細いスラックスをはき、やはり黒に見えるジャケットを着たレノンは、眼鏡をかけて画面のすぐ外を見ている。この頃すでに、人の心を直接にとらえる不思議な魅力のある力を、レノンは自…

底本:『ノートブックに誘惑された』角川文庫 1992年

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