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エッセイ

どこにでも部屋を作る才能

 彼女はテントをいくつも持っている。興味を引くテントを見ると買ってしまう。だからいつのまにか数多くなる。いまでは毎年ひとつ、テントを買っている。冬のあいだに買い、春になると試してみる。そして夏に最終的な試用をし、秋から冬のあいだずっと、気がむくとどこかへ出かけていき、テントで夜を明かす。
 今年のテントはスカイゲイザーというロマンティックな名前だ。直訳すると、空を見つめる人。晴れた日の夜、ひとりで星を見て過ごすのに適したテントだ。
 フロアの広さは充分にある。九フィートに七フィートちょっとという四角だ。本来…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『「彼女」はグッド・デザイン』太田出版 1996年

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