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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

ロッキング・チェア

 アメリカの中西部、人口が一〇〇〇名に満たない小さな田舎町の町はずれに、その家はあった。大平原地帯のまんなかにあるこのような小さな町の町はずれは、ようするにすでに大平原なのだ。見渡すかぎり大平原しかなく、たとえば外国からひとりでやってきて旅をしているときなど、すこし気が弱くなったりさびしい気持になったりしていると、取りつくしまのどこにもない、荒涼たる孤独を感じてしまって、どうにもならなくなったりするのではないだろうか。わかりやすく言うとこんなふうな、さびしくてだだっ広いところに、ぽつんと、その家は建っていた。
 小さな、…

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