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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

性悪説でいこうか

 監視カメラの設置される場所が急速に増えている。集合住宅のエレヴェーターとその周辺、商店街や歓楽街のあちこち、ATM、コンビニ、駅や空港、駐車場など、それぞれの管理者が、そこを利用する人たちの安全や安心、あるいは防犯のために設置している。
 こうした場所は誰もが等しく利用する公共の場所や施設だ。公共ではなくとも、不特定多数の人たちの、必要に応じた自由な出入りや利用を前提とした場所だ。誰にとってもそこは生活の現場だ。家庭や仕事の場所とおなじく、人々にとってなくてはならない重要な場所だ。
 生活の現場という帰属…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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