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小説『七月の水玉』より3作品を公開

小説『七月の水玉』(文藝春秋/2002年)より3作品を本日公開いたしました。

川島健一郎は大学の写真学科を出て、新聞社の写真部で仕事をしている。ある日、高校の同級生だった岡部孝雄が大阪に転勤することになり、岡部の母親で会計事務所で働く恵子とともに新幹線のホームで彼を見送るが、そのあと彼女と1日を過ごすことになる。川島は恵子に言われるがままに独り住まいの自宅へと彼女を招き入れ、親密な関係となっていく。10年後、恵子は仕事で神戸へ移り、川島は会社を辞め、フリーランスの写真家/小説家として東京で暮らしている。しかし2人の関係は終わったわけでない。そして35歳となった川島は、ある計画を思いつく。『七月の水玉だった』が、作家が生まれる物語とすれば、この『寝室には天窓を』は、フリーランスになるということについての物語である。

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新聞社の記者を経てフリーランスの物書きをしているトキヒコは、駅の改札を出たところで中学・高校の先輩である女性・舞子と久しぶりに出会う。ピアノを弾き、すでに3枚のLPをリリースしているという彼女と街を歩きながらの会話に、彼はきわめて快適な居心地の良さのようなものを感じる。彼の実家での突然のプロポーズを経て、ふたりは夫婦となるが、それはまさにふたりに同時に訪れた転機でもあった。彼女はかねてからの計画通りヨーロッパへ旅立ち、彼は彼女の家へと移り住み、ひとり静かな時間を過ごしながら、自分は文章を紡ぎ出さなければいけない、と考えていく。これもまたひとりの小説家の誕生の物語でもある。

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1976年、喫茶店の店主を務める46歳の中島裕美子は、店に時々やってくる27歳の川崎律子からアルバイトの申し出を受ける。裕美子は律子に関心を持たれた自分の過去に視線を伸ばし、戦後の混乱期に17歳で大阪・千日前の劇場でダンサーとしてデビューした頃のこと、日本全国を回りあらゆる舞台に立ったこと、この喫茶店との出会いなどを回想する。しかし彼女自身は全く昔を懐かしんでいるわけでもなく、回顧も懐古もしない。彼女自身は常に「今」を生きている。そこには、常に変化を受け入れてきた、戦後の東京という街の姿が重なる。

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2022年7月29日 00:00 | 電子化計画

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