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小説

秋風と彼女の足もと

2001年6月に刊行された短編集「七月の水玉」の掉尾を飾った、この作品は、それまでの五編で背景として描かれてきた戦後史を、戦後二年で踊り子になって、1976年の現在、喫茶店の主人となっている女性の遍歴として描くという、まさにこの短編集の最後を締めるのにふさわしい物語になっている。その彼女と付かず離れず10年間付き合っている男性が、知り合った時はライターで、今は作家となっているというのがまた上手い構成。人生を振り返りながら、全く懐かしくはないという彼女の生き方に、変化を受け入れてきた戦後東京の姿が重なる。

『七月の水玉』文藝春秋 二〇〇二年六月
初出:「文學界」 二〇〇二年一月号

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