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小説

これは自分の理想だった

60年代後半から70年代、大きく変わっていく東京を舞台に、変化や転機の物語を集めたような短編集「七月の水玉」所収の、この短編小説もまた、1977年にフリーのライターになって五年目の男が、幼なじみの三つ年上の女性との再会をきっかけに、小説を書こうと考えるに至る物語だ。そして、そのきっかけとなるのが、年上の女性からの、いきなりのプロポーズであり、その言葉が発せられるシチュエーションの意外性なども含めて、理想の女性像のような描写が、主人公の理想の生活を実現させる伏線になっている。片岡義男のマジカルな手際に注目してください。

底本:『七月の水玉』文藝春秋 二〇〇二年六月
初出:「文學界」 二〇〇一年十一月号

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