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書評

ペイパーバックの中のトルーマン・カポーティ

 トルーマン・カポーティの小説『ティファニーで朝食を』を、いま頃になってようやく僕は読んだ。長編小説だとばかり思っていたのだが、短い小説だ。しかし短編とも呼びがたいのだろう、シグネットというペイパーバックの叢書で一冊にまとまったときには、他に三つの短編を加えて、一冊になった。一九五十年あたりからいくつかの雑誌に書いた短編小説が、一九五九年にマス・マーケットのペイパーバックとなった。写真のなかにそれがある。『ティファニーで朝食を』の主人公であるホリー・ゴライトリーが表紙に描いてあるけれど、イメージの質がまったく異なる古いタイプの女性とし…

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