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評論・エッセイ

「がんばる」とは、なにだったか

「がんばれ」「がんばって」と、いろんな人から自分は言われる。外部から届いて来るこの言葉を、自分という人は受けとめる。受けとめた度合いがある程度以上になると、そうか、自分はがんばるのか、と思い始める。さまざまな人たちから受けた「がんばれ」という言葉をひとつにまとめて、それを自分で自分に向ける。よし、がんばろう、ということになる。
 そのスタート地点から、「がんばる」はこんなふうに他律的そして受動的だ。他律的にそして受動的に受けとめた数多くの「がんばれ」を、自分という人は自分で自分に向ける。自分はこうしてひとりだけの状態に置…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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