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エッセイ

海から見る自分の居場所

 瀬戸内の海からその港へ入っていくとき、視界に広がる景色というものを、現在の地図を見ながら僕は思い描いている。最近の地図を見ながらだから、思い描く景色は現実にかなり近いものとなっているはずだ。海に突き出た埋め立て地が、港の南北に、そして奥にあり、そのなかへたとえば小さな船で入っていこうとしている人は、埋め立て地を縁取るコンクリートの、さまざまな方向にのびる直線に、取り囲まれるだろう。港の奥へ向かえば向かうほど、埋め立て地を囲むコンクリートの直線に、左右から、そして前方から、深くさらに深く、その人は取り囲まれる。
 取り囲…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年

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