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評論・エッセイ

『桔梗が咲いた』

 オートバイを探して自分の書いた角川文庫をさらに過去に向けてさかのぼると、一九八六年の十一月に刊行された書き下ろしとして、『桔梗が咲いた』という中編を僕は見つける。どんなストーリーだったかいっさい思い出せないが、ここにはオートバイがあったはずだ、と僕は思う。北国の夏のなかへふとオートバイであらわれた無口な少年、というイメージから物語を作ったような記憶があるからだ。
 斜め読みしてみると、僕の記憶はかなり違っていることがわかった。ある男性の作家が、三人の若い女性と座談会の場を持つ。自分が十代だった頃、という主題の座談会だ。…

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