ギアを8段に落とし、町の少年たちの野球を双眼鏡で見ながら西へ
エア・コンディショナーによってととのえられた機械じかけの空気が、トラックの運転室に満ちていた。
不快なのかそれとも快適なのか、いつになっても判断がつかないという、不思議な空気だ。
前進16段のギアを持つ、巨大で強力な機械の音とにおいが、その空気の中にとけこんでいた。
「ジョニー」
と、助手席にすわっている男、スペンサーが、運転席の相棒に声をかけた。
「町が近くなって、カントリー音楽がよく聞こえるようになったよ。聴くかい」
「聴きたいね」
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