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エッセイ

母の三原則

 あなたのお母さんに関してもっとも印象に残っていることはなにですかと、ごく最近、人に訊かれた。尋問の雰囲気をかすかに感じさせるような、きわめて真面目な質問のしかただった。母親その人のものとして、もっとも強く特徴的だったのは関西弁でした、と僕は答えた。そのとおりだからだ。僕が知っている母親は、なにか意図があって東京の山の手言葉を喋るとき以外は、その一生をとおして強烈な関西弁の人だった。
 僕の母親は近江八幡で生まれた。昔から続いた地元では知られた数珠屋の末娘だ。その数珠屋の始まりは、例によってと言うべきか、聖徳太子が地場産…

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