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評論・エッセイ

シジミ汁のシジミを数えよう!

 三等船客のための簡素な日本食の食事に味噌汁がついていた。その味噌汁がもしシジミ汁であったなら、まず、味噌汁の大なべのなかから、シジミだけをしゃくしですくいあげて器に移した。大なべのなかにあるシジミぜんぶを、器に移すのだ。そして、シジミの数をかぞえた。大なべに入っているシジミの数を正確にかぞえたうえでそのシジミを全員の員数で割り、誰にも等しい数のシジミをふりわける。そうしたうえで、こんどは汁のほうを注ぐのだ。シジミの味噌汁は、こうして正確に分配されたうえではじめて、シジミの味噌汁になるのだった。
 これは、ぼくの創作では…

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