VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

憧れのハワイ航路

「チャイチャイブー」のひと言がなぜぼくにとって衝撃的であったかについて書くまえに、秩父丸に三等客として乗るとどのような感じであったかに関して、明らかにしておかなくてはならない。すべては有機的に複雑に連関している「チャイチャイブー」をわかるためには、秩父丸に三等客として乗ってホノルル航路やサンフランシスコ航路を旅する実感がわからなければいけないのだと、なんの根拠もなく、ただ本能的にぼくは理解している。だから、一九三〇年代なかばのホノルル航路の三等船客にしつこくこだわるのだ。その船客が体験したのとおなじ体験はもうできないのだからぼくとして…

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