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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

いま高校生なら僕は中退する

 一九九七年の日本で、全国の公私立高校から中退した少年少女の数は、十一万一千四百九十一人だったという。生徒数ぜんたいに対して、この数は二・六パーセントの中退率だそうだ。統計をとり始めた一九八二年以来、最高の数字に達したということだ。このことを一九九八年の年末に報道したある新聞によれば、「先進国でトップという進学率の高さから考えれば、この中退率はむしろ低いレヴェルである」と、文部省の幹部は言っているそうだ。
 先進国でトップの進学率とは、日本全国の中学生たちのうち、じつに九十七パーセントまでが高校に進学するという、異常事態…

底本:『坊やはこうして作家になる』水魚書房 2000年

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