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エッセイ

鉛筆を削る楽しさ

 僕は鉛筆を削るのが好きだ。鉛筆そのものも、そして鉛筆でなにか書くのも好きだが、削るときがもっとも楽しい。だから僕は削るために鉛筆を買う。僕の好みに合うのは、アメリカの鉛筆だ。西ドイツやイギリスの鉛筆も悪くないけれど、アメリカの鉛筆に僕はもっとも大きな許容度のようなものを感じる。
 アメリカの鉛筆には種類が多くない。ほんの二、三のメーカーによる、息も絶えだえの独占、といった状態なのではないだろうか。しかし、あの黄色い色とおおざっぱな感触は、まさに鉛筆のものだと僕は思うから、主としてアメリカの鉛筆を削って楽しんでいる。
底本:『アール・グレイから始まる日』角川文庫 1991年

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