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エッセイ

雨の夜、電話ブースで待っていた

 真夜中に電話が鳴った。沖縄が梅雨入りをしたという小さな記事を新聞で読んだ三日後の、雨の夜だった。
 女性の友人からの電話だった。電話ブースのなかで雨宿りをしているので、自動車で助けに来てもらえないだろうか、というお願いの電話だった。あなたのところから自動車なら五分くらいのところではないかと思うの、と彼女は言っていた。
 場所を、ぼくは、きいた。彼女が言うとおり、ぼくのところからその電話ブースまで自動車でほんの数分だ。ぼくは、助けにいってあげることにした。すぐに、自動車で、彼女が雨宿りをしている場所まで、い…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『「彼女」はグッド・デザイン』太田出版 1996年

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