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評論・エッセイ

小さな島にいると自分がよくわかる、という話

 ぼくにとっての小さな島の魅力は、「南」とか「夏」とかの魅力と、不可分に一体となっている。ぼくが大好きな島は、南の島かあるいは夏の島なのだ。真夏でもなお肌寒い北の海の島はまだ体験がないから、好きだかどうだかわからない。
 南とか夏とかは、ぼくにとって非常に重要な意味を持っているようだ。理屈をこえたところで夏や南が好きなのだが、あえて理屈で説明するなら、夏も南もぼくにとっては、感覚の自由な解放に大きな役を果たしている、ということが、はっきり言える。
 ぼくの体質、さらには感覚の質のようなものが、夏や南と相性が…

底本:『コーヒーもう一杯』角川文庫 1980年

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