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エッセイ

とてもいい友人どうし

 彼と彼女は、そろそろ四十歳に近づく年齢の、同世代の日本人だ。どちらも二十代の後半に結婚し、どちらも三十代のなかばには離婚した。いまはふたりとも独身だ。都会のなかで多忙に、しかしそれなりに楽しく、日々を送っている。
 このふたりが、ある日あるところで、知り合った。交際がはじまり、友人どうしとなり、さらに親しさは増し、恋人どうしと言っていいような状態へと、ふたりは入っていった。
 恋人どうしとしての期間がしばらく続いたあと、ふたりは結婚することになった。どちらが言いだすともなく結婚の話が持ち上がり、どちらも結…

底本:『アール・グレイから始まる日』角川文庫 1991年

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