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エッセイ

本物

 一九六〇年代のなかばに、ホノルルのビショップ博物館で見た昔のハワイのサーフボードは、本物との対面、というような感銘をぼくにあたえてくれた。それ以前にもこの博物館へは何度もいき、展示してあるサーフボードも見ているのだが、波乗りに対するぼく自身の興味は一九六〇年代のなかばからはじまったので、それ以前にはおなじものを見てもさしたる感銘はなかった。
 いまでもハワイへいくと、たいてい一度はビショップ博物館にたちより、いろんな展示品を飽かずにながめる。何本もの巨大なサーフボードの前には、おおげさに言うなら畏敬の念を持って、しばし…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『僕が書いたあの島』太田出版 1995年
『すでに遥か彼方』角川文庫 1985年所収

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