VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

大陸のエネルギーと大海原のエネルギー

 北アメリカの太平洋岸のハイウェイを自動車で走っていると、走っているあいだずっと、巨大な海の存在を身近に感じつづけることができる。
 大きさにおいては負けず劣らずの大陸と海とが接しあうところを、海ぞいに、北へ南へと走る。北へむかっているときには自分の左側に、南にくだっていくときには右側に、巨大な海の鼓動が、いつもある。
『エデンの東』のサリーナスから太平洋にむけて二十マイル足らずだろうか、68号線を走っていくと、モンタレーの町およびモンタレー半島がある。
 この半島で感じとれる太平洋のエネルギ…

底本:『コーヒーもう一杯』角川文庫 1980年