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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

レッドウッドの森から

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 川に沿ってのぼっていった。透明さの極限をきわめたような、冷たく澄んだ川の水が、きれいな音をたてて流れていた。砲丸投げの砲丸を平たくしたほどの大きさの砂利が、川底にそして川原いっぱいに、広がっていた。
 野生の鹿やエルク(大鹿)の足跡が、川の水のふちに残されていた。熊の足跡もあった。人間の手を押しつけてつくったようにも見える大きな親熊の足跡のとなりに、子熊のかわいらしい足跡が砂にくっきりとあった。足跡の周辺には、レッドウッドの樹の種子や松かさが、美しく散っていた。色が砂の色調とみごとに調和し、種子のかた…

底本:『スターダスト・ハイウエイ』角川文庫 1978年