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エッセイ

服を見ればわかる

 引っ越しの話の続きを書く。二回に分けた引っ越しの最初の回〔「引っ越しという自己点検」(『自分と自分以外──戦後60年と今』〕では、ひとりの人が荷造りを手伝ってくれた。午後遅く、僕の衣服を段ボール箱に詰める作業を、その人は始めた。引っ越しはいい機会だから、もう着ないものを僕は整理しようと思っていた。しかし僕は他の作業でそれどころではなく、整理は後日のことにしてあるものすべてをかたっぱしから、その人の手で箱に入れてもらった。その衣類の箱はすべて、新しい家の僕のクロゼットにいったん収めた。クロゼットはいっぱいになり、隙間を縫ってなんとか奥…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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