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片岡義男.com 全著作電子化計画

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書評

移動、という行為を開始することによって、人生の全責任を彼女は自分ひとりで引き受ける

 ホテルへ戻り、コーヒー・ショップのいちばん奥の、しかも片隅の席で話を続けようか、と僕が言った。ホテルへ戻りかけたとき、彼女は百貨店に目をとめた。このなかになにかいい場所がありそうだ、と直感した彼女についていくと、四階の婦人服売場の奥に、静かなよく出来たコーヒー・ショップがあった。そこで、夕方まで、僕は彼女を相手に話を続けた。
■モナ・シンプソンの『ここではないどこかへ』(邦訳は早川書房)という小説は、ぜひとも話題にしていただきたいと、思っていました。
 たいへんに面白く読みました。素晴らしい小説です。あな…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『本を読む人』太田出版 1995年
『彼女と語るために僕が選んだ7つの小説』新潮社 1989年所収

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