VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

特 集

未ログイン時には閲覧時間制限がございます。ご了承ください。

『ぼくは片岡さんが大好き』簡単なステーキ

『ぼくは片岡さんが大好き』簡単なステーキ

2024年5月8日 00:00

このエントリーをはてなブックマークに追加
  

1冊の本が出来上がるまでには多くの人が関わります。とりわけ編集者は、本の形すら見えていない段階から常に作家の近くに寄り添い、共にゴールを目指す同志とも言える存在でしょう。そして、その作家についてもっともよく知っているのが編集者、とも言えるのではないでしょうか。この連載では、片岡義男の4作品を世に出し、ここ数年を片岡との二人三脚で歩んできた編集者・篠原恒木さんに実際に見た・聞いた「片岡義男についてのさまざまなエピソード」を語っていただきます。篠原さんの手によるイラストと共にお楽しみください。

◆ 著者紹介

篠原恒木
篠原恒木(しのはらつねき)

女性月刊誌『JJ』(光文社)元編集長、出版物の宣伝統括などを担う。片岡義男の編集担当としてこれまで4作品を世に出す。特に『珈琲が呼ぶ』(2018)は刊行当時、珈琲ブームの火種ともなった。この他、片岡自身が物書きから作家としてデビューするまでを綴った『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。』(2016)、片岡義男が愛する3組のミュージシャン、ザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーの映像に関するエッセイ集『彼らを書く』(2000)と話題作を送り出す。最新刊は『珈琲が呼ぶ』の続編とも言える『僕は珈琲』(2023)。片岡義男.comでは『彼らを書く』のスピンオフとも言える『僕も彼らを書く』、そして『ロックを再生する』を連載。

◆ 著者よりひとこと

 今回から、片岡義男さんについて僕の知っていることを書かせていただきます。よく「素顔」という言葉がイディオムのように使われますが、この文章は「片岡義男さんの素顔」ではありません。「素顔」というフレーズはなんだかとても胡散臭いですよね。僕も「僕自身の素顔」なんて自分でもよく分かっていませんから。
 ですから、この短い文章は「片岡義男さんに関するエピソードのほんの一部分」です。タイトルは片岡さんの名著からいただきました。僕の気持ちを端的に表すなら、このタイトルしか有り得ませんので。
 片岡さんの作品を愛する皆さまに楽しんでいただければ幸いです。

◆ 最新刊(2024/5/8公開)

第十七回『簡単なステーキ』
第十七回『簡単なステーキ』

小説では時々登場人物が「簡単な食事をとった」という表現が出てきます。何気なく読み飛ばしてしまう部分ですが、この「簡単な食事」とは具体的にはどんなものなのか気になりませんか? なぜ「トーストにスクランブルド・エッグス」とか「卵かけご飯」などと書かないのでしょうか? 篠原さんがそんな疑問を持ったのは、片岡義男のお気に入りのレストランで電話予約しておいた「簡単なステーキ」を待っている間のこと。その疑問に対する片岡の答とは。そして待望の「簡単なステーキ」とは一体どんなものだったのでしょうか。→ 作品を読む

◆ 次回予告

第十八回『片岡さんが拍手をした』
2024/5/15公開
第十八回『片岡さんが拍手をした』

2016年12月、篠原さんはグレン・ミラー・オーケストラの来日公演に片岡義男を誘います。グレン・ミラー・オーケストラといえば1937年に結成され現在も活動を続けるビッグ・バンドであり、あらゆる音楽に精通した片岡にとっても特別な存在であるはずなのですが、今ひとつ気乗りがしない様子。オリジナルの音源を聴き込んだ片岡にとって、グレン・ミラー本人もおらず、メンバーも昔とは異なる楽団は「○○のない珈琲」のようなものなのかもしれません。果たして片岡が納得する演奏が聞けるのだろうか……。そんな一抹の不安を抱えつつ当日を迎えた篠原さんですが、さて、その結果はいかに?