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エッセイ「CDを積み上げる」より4作品を公開

「CDを積み上げる」は岩波書店の雑誌『図書』にて2020年1月から2022年12月まで連載された作品で、毎回原則として1人のアーティストのCDアルバムを取り上げ、そのアルバムやアーティストについて語った音楽エッセイです。

 僕はいま『一昨日』という題名で短編小説を書こうとしている。主人公は西野恵子といい、彼女は作家になろうとしている。そして、西野恵子の男性の友人には貝殻一郎という人がいる。1946年の日本映画『或る夜の接吻』を仕事で観たら、主人公の男性は、貝殻一郎というペンネームで雑誌に詩を投稿している、という設定だった。貝殻一郎という名をいたく気にいった彼は、貝殻一郎という名の作家になることにした。そして西野恵子とおなじ頃、最初の短編集を作った。『或る夜の接吻』の主題歌は『悲しき竹笛』といい、奈良光枝が近江俊郎と二人で、歌っていた。
・近江俊郎・奈良光枝『悲しき竹笛』

(『図書』岩波書店/2022年9月号掲載)

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 ハンク・ウィリアムズと十年近く結婚していたオードリー・ウィリアムズの歌う声を聴いてみたいと僕はかねてより希望していた。『ジ・アンソロジー』というCD三枚の作品がハンク・ウィリアムズにある。全部で75曲のうち7曲が、「With Audrey Williams」と表記されている。彼女の歌声を多少なりとも聴くことが出来るのではないか、と僕は考え、その七曲を聴いてみた。7曲のうち"Help Me Understand"という一曲だけ、ハンクはレシテーションを受け持ち、歌っているのはオードリーひとりだけだった。パッツイ・クラインのような歌い方を想像していたのだが、その想像ははずれた。
・ハンク・ウィリアムズ/オードリー・ウィリアムズ『Help Me Understand』

(『図書』岩波書店/2022年10月号掲載)

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 1994年に日本のユニヴァーサルは、「女性ヴォーカル・コレクション エレガンスへの誘い」と題して、全40タイトルの作品をCDにして発売した。そのうちの1枚がボニー・ギターのものであり、CDになるのはこれが初めてだったそうだ。1923年、シアトル生まれの彼女は幼い頃からいろんな楽器がうまく、天才ぶりを充分に発揮した。1957年にはドット・レコードと契約し、自作の『ダーク・ムーン』をヒットさせた。ヒット曲を紹介する番組で『ダーク・ムーン』を何回聴いたかわからない。部分的には英語で、この歌をいまでも歌えるほどだ。
・ボニー・ギター『Moonlight And Shadows』(アルバム/2000)収録曲

(『図書』岩波書店/2022年11月号掲載)

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「ユニヴァーサル女性ヴォーカルコレクション エレガンスへの誘い」(1994)のなかの1枚にヴィッキー・ベネットの『ア・パリ』がある。CDになったのは、この1994年が最初だったという。以来、このCDは何度か市販されているという。僕が手に入れたのは、その何度目のどれかかも知れない。1曲目の『パリ・カナイユ』を彼女が歌い出す瞬間、この女性はパリの人だと、僕にはわかった。発声からしてパリなのだ。ジャケットでは窓の外にエッフェル塔がかすんでいるが、もっとはっきり、彼女はパリだ。僕は安心した。ときどき加える英語によるジャズ風味は、おまけみたいなものだ。
・ヴィッキー・ベネット『ア・パリ』アルバムリスト

(『図書』岩波書店/2022年12月号掲載)

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2026年10月2日 00:00 | 電子化計画

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