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エッセイ「CDを積み上げる」より3作品を公開

「CDを積み上げる」は岩波書店の雑誌『図書』にて2020年1月から2022年12月まで連載された作品で、毎回原則として1人のアーティストのCDアルバムを取り上げ、そのアルバムやアーティストについて語った音楽エッセイです。

 神楽坂はん子が『ゲイシャ・ワルツ』という歌をレコードにしたのは1952年だった。藤本二三吉、勝太郎、市丸、赤坂小梅、そして戦後になってからは、神楽坂の検番からまず玉枝が、そして神楽坂はん子が、それに続いて、神楽坂浮子が、歌手になった。なぜこうも芸者なのか、と子供心に僕は疑問に思った。『神楽坂はん子全曲集』には20曲の歌が収録してある。その前半の十曲を僕は聴きとおした。なぜこうも芸者なのか、という昔日の疑問は、神楽坂はん子に限っては、解けた。芸者はお別れが巧みだ。神楽坂はん子は、そうとは知らずに、お別れの歌を歌っていた。それまでの日本にお別れするための、そうとはまず知れないはずの、歌だ。
神楽坂はん子『神楽坂はん子全曲集 ゲイシャ・ワルツ』(2018)収録曲

(『図書』岩波書店/2022年3月号掲載)

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 コロムビア・ローズという名前を最初に聞いたのは12歳、13歳の頃ではなかったか。名前をおそらくラジオで聞き、それっきりになったのだろう。これがコロムビア・ローズの歌だ、とレコードに向き合って再生し、それを聴く、ということを僕はまだやっていなかった。『娘十九はまだ純情よ』という歌は彼女のデビュー作で、1952年のものだという。この歌の歌詞は4番まであり、5行目に当たる最後の一行はいずれも、「娘十九はまだ純情よ」、となっていて、この一行には聞き覚えがあるどころか、歌うことが出来るのだ、ということを僕は再発見した。
初代コロムビア・ローズ『懐かしの名歌手 初代コロムビア・ローズ全曲集』収録曲(2018)

(『図書』岩波書店/2022年4月号掲載)

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 2010年にジュリー・ロンドンのCDが30点、紙ジャケット入りで市販された。店頭で見た僕は、"Send For Me"の一枚だけを買った。30点すべてを買っておけば、1955年から1969年までにリバティで録音したLPはすべて、CDで揃ったのに。
『クライ・ミー・ア・リヴァー』という彼女の歌は1955年のものだという。『月がとっても青いから』や『南国土佐を後にして』が1955年のものだという。そうか、と思うだけだ。「三人娘」と呼ばれた江利チエミ、雪村いづみ、美空ひばりが、『ジャンケン娘』という映画で共演した年だそうだ。「三人娘」という言葉には、聞き覚えがある。
ジュリー・ロンドン『クライ・ミー・ア・リヴァー』(1955)
(アルバム『Julie Is Her Name』より)
ジュリー・ロンドン『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』(1963)
(アルバム『THE END OF THE WORLD』より)

(『図書』岩波書店/2022年5月号掲載)

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2026年9月4日 00:00 | 電子化計画

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