世田谷線と片岡義男

現在、東京の世田谷文学館で開催中のコレクション展「世田谷線・100年間のものがたり」にお伺いしてきました。このコレクション展は世田谷区の三軒茶屋〜下高井戸間を走る世田谷線が1925年に開通してから今年で100年になるのを記念し、世田谷線の沿線と駅に関わる物語を作家のエピソードと共に紹介するものです。
世田谷線は1925(大正14)年、渋谷と二子玉川を結ぶ玉川電気鉄道(現・東急電鉄)の支線・下高井戸線として開通しました。1969(昭和44)年に渋谷〜二子玉川間の路線廃止により、三軒茶屋〜下高井戸間は世田谷線と改称されます。総延長5.1kmの間に10駅がひしめき、2両編成の電車で各駅停車のみという、ローカル色あふれる鉄道として親しまれています。

入口には運賃箱と乗務員の制服も。
わずか10駅しかない世田谷線ですが、沿線にはこれまで多くの作家たちが暮らし、また、多くの文学作品に沿線の風景が描かれてきました。三軒茶屋には若き日の林芙美子や壺井栄、平林たい子が暮らしており、中原中也、藤野千夜、三浦しをんといった作家も下高井戸駅周辺を描いています。近年では山下・松原を吉田篤弘さんが「月舟町三部作」の舞台のモデルとするなど、現在も多くの作家たちが世田谷線沿線の街の物語を紡いでいます。

モニターには世田谷線の路線図を表示。気になる作品や作家をタッチすると関連作品が表示される
片岡義男も世田谷線と沿線の駅や街が登場する作品をいくつか書いています。今回の展示ではその中から『酔いざめの三軒茶屋』が大型モニターで紹介されています。

モニターをタッチすることで、作品を表示できる
『酔いざめの三軒茶屋』には三軒茶屋駅とその周辺が登場しますが、他にも『遠慮はしていない』では山下駅と下高井戸駅、『ごく普通の恋愛小説』では松陰神社前駅が。『謎なら解いてみて』には松原駅と下高井戸駅、そして『蛇の目でお迎え』には「世田谷線」と明記こそされていませんが、下北沢駅と松陰神社前駅それぞれの周辺が描かれています。また、エッセイ集『つい、こないだ』では世田谷線を舞台とした小説の実例と構想を、世田谷線の駅と周辺の写真などを交えて書いています。
開催は来年の3月31日まで。世田谷周辺におでかけの際にはぜひ足をお運びください。
【世田谷線・100年間のものがたり 開催概要】
会期:2025年10月18日(土)〜2026年3月31日(火)
時間:10:00〜18:00
休館日:毎週月曜日(月曜が祝・休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12月29日~1月3日)
主催:世田谷区、公益財団法人せたがや文化財団 世田谷文学館
協力:東急株式会社、東急電鉄株式会社、電車とバスの博物館、世田谷線開通100周年記念事業実行委員会
2025年11月6日 16:30 | ちょっと一息
