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エッセイ『作家の口福』より1作品を公開

『作家の口福』は、朝日新聞土曜版の別刷紙『be on Saturday』に掲載されていた人気連載で、一人の作家が数回ずつを担当し、自身の好きな食べ物、食にまつわる思い出などを自由に綴ったものです。片岡義男は2013年3月に計5回本欄を担当しました。

太平洋戦争中、僕はアメリカ軍による東京の空爆を逃れ、山口県岩国市の祖父の家に住んでいた。祖父は何でも出来る人で、実際的なことを広い範囲で、根気よく幼い僕に教えてくれた。鶏を飼うのはその教育の一環だった。広い庭の片隅の鶏小屋で20羽ほどを飼っており、餌やりから掃除、運動までその世話は一日がかりだった。鶏の産んだ卵の多くは商店街にあった乾物屋が買い取ってくれ、その代金を僕はコーヒーの空き缶に入れておいたのだが……。

(朝日新聞 2013年3月30日掲載)

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2025年8月29日 00:00 | 電子化計画

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