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お知らせ

写真集『私は写真機』を公開

写真集『私は写真機』(岩波書店/2014年)を本日公開いたしました。

 子供の頃、曇った日の僕は現実のなかに取り込まれた。晴れた日の僕は、意識の上でその日の外にいて、外から晴れた日を見ていた。曇った日をリアルだとすると、晴れた日は、それを外からとらえる自分の問題として、リアリティだ。リアルが現実そのものなら、リアリティとは、自分がとらえる現実、というものだ。曇った日の僕は、その現実の中でいつのまにか消滅していた。晴れた日の僕は消滅せず、少なくとも視点だけは外にあり、その視点を持ち続けた。現実そのものが、この自分が受けとめた現実、というもうひとつの現実へと変化し続けた。
 物体という現実は、写真機の中で、なかばあたりまでリアリティへと変化している。カメラのレンズを通過した光は物体を絡め捕ってリアリティへと急速に変化させつつ、それをフィルムの乳剤層の中に閉じ込める。そして現像によってリアリティは確定される。撮るか撮らないかは、気づくか気づかないかであり、気づくとは、自分が写真機になることだ。

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2023年3月28日 00:00 | 電子化計画

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