連作短編「グッドラックとしか言いようがない」から『ひとりで散歩する彼女』を公開
連作短編小説「グッドラックとしか言いようがない」(『マガジン・ノン』祥伝社/1985〜86年)から『ひとりで散歩する彼女』を本日公開しました。
中野裕司の今回のお相手は、友人女性から「おっとりしているが、ちょっとくせがある」と紹介された星野真理子。その「くせ」とは嫌な意味ではなく「おっとりしていて丁寧だが、その陰にシャープな部分が隠れている」という意味だという。コーヒー・ハウスでの初めてのデートで彼女を気に入った裕司は、来週再び会う約束をする。次の週、彼女は同じ店に同じ服を着てやってきた。彼女の丁寧な言葉使いに引きずられ、裕司の言葉使いもいつもと変わってくる。エアロビクス用のシューズを履いて来たという彼女は、裕司にあることを依頼する。
「お願いをしていいでしょうか……。朝まで、歩きたいのです」
「今日、これから、明日の朝までですか」
「はい」
裕司は彼女の申し出を受け、朝まで一緒につきあうことになるのだが……。。
(『マガジン・ノン』1986年2月号掲載)
2023年1月13日 00:00 | 電子化計画