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小説

グッドラックとしか言いようがない ひとりで散歩する彼女

真理子は、裕司をまっすぐに見て、「お願いをしていいでしょうか」と、丁寧に言った。「朝まで、歩きたいのです」「今日、これから、明日の朝までですか」「はい」ごく当然のように、真理子はこたえた。いま自分たちはデートをしている。ひとりでお歩きなさい、とは言えない、と裕司は思った。こんなデートは初めてだ。

底本:『マガジン・ノン』一九八六年二月号

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