写真エッセイ『東京22章』（朝日出版社／2000年）を本日公開しました。

例えば駅前の中華料理店のウインドーにある、一杯のラーメンの食品サンプルを撮った写真を、つくづくと観察する。「ラーメン一杯の幸せ」というフレーズが、やがて僕の頭のなかに生まれる。タイトルではないか、と僕は思う。このタイトルのもとに、ラーメン一杯の写真を何点かひとまとめにするなら、そしてそこに短い文章をつけるなら、それは写真と文章によるひとつの章になるのではないか、などと僕の思いは進展する。同じくウインドーのなかの餃子の写真を見ていると、「餃子の写真うつり」というタイトルを、ほどなく僕は手に入れる。このようにして二十二の章タイトルを手に入れた僕は、それぞれの章にふさわしい写真を、撮りためてあったもののなかから、選び出した。二十二の章を配列し、写真が確定するはじから、僕はそれぞれの短い文章を書いていった。『東京22章』というタイトルは、その作業の途中で手に入った。

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