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「僕の戦後、あなたの戦後」に寄せて

片岡義男ドットコムでは、本日より特集「僕の戦後、あなたの戦後」を公開いたします。公開に先立ち、「片岡義男全著作電子化計画」プロデューサーの萩野正昭(1946年・東京生まれ)が「わたしの戦後」について語ります。


戦後といえば、わが家でいの一番、この話が出てくる。
召集で戦地に送られた父が帰ってくる。そのはず。帰らないことも覚悟する。でも何もわからない。どんな思いで、這這の体(ほうほうのてい)でたどり着く故国だろう。歩いてくるのか、目指す故郷。でもわが家は見当たらない。見わたすかぎりの焼け野原なんだ。せめてもと看板を立てる。「お帰りなさい、家族はここにいます」と。でも甘い。看板は即座に誰かに持ち去られ、燃料の一部と化す。そこに書かれている文字を何と思う。文字を思う余裕はない。失うことの底なしの深さを体験する。この絶望こそわが家の戦後であった。

焦土と化した東京。本所区松坂町・元町(現在の墨田区両国)付近で撮影されたもの。右上にある川は隅田川、手前の丸い屋根の建物は両国国技館(写真:Wikipediaより転載)

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「特集 僕の戦後、あなたの戦後」はこちらから。

2022年8月5日 00:10 | 片岡ニュース

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