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エッセイ『僕の戦後』、評論『日本語の外へ』など6作品を公開

特集ページ「僕の戦後、あなたの戦後」公開に合わせ、エッセイ『僕の戦後』(雑誌『ひらく』掲載)や評論『日本語の外へ』(角川文庫)、『影の外に出る〜日本、アメリカ、戦後の分岐点』(NHK出版)などからの6作品を公開いたしました。

太平洋戦争末期、片岡義男は疎開先である山口県岩国市にいた。そこに祖父が建てた家で過ごした6年間を振り返る。東の空に立ち上る不思議な雲、奇妙な黄色い光を幼い全身に浴びたその時こそが、生きている時間が戦中から戦後に切り替わった瞬間だったと振り返る。

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(以上1作品『ひらく』(発行:エイアンドエフ)より)

日本は戦後から現在まで、ひたすら経済活動だけを追求してきた。しかし自分たちの価値観を外に向けて正確に伝えるための言葉、そしてその言葉を使うトレーニングを、戦後の日本は怠ってきた。さらに、真の文化を生んでいく作業にとってまず何よりも必要的なのは、豊かな自由時間だ。そのなかでまとまりのある生活を作っていくためにもっとも必要なのは、高度に個性的で独創的な才能と、それを発揮し続ける強靭な意志だ。こういうものは、どうでもよいような商品の消費をとおして身につくものではない。

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母国語(言葉)はこの複雑な世界に手掛かりを見つけ、その認識の方向を決めるための道具だ。しかし利得主義とも言うべき強い傾向が、日本語の性能のなかに偏りとして存在する。今、目の前にあるこの瞬間という現在にだけ執着し、過去に対してきわめて無頓着なのが日本人だ。現在が更新されれば、ついさっきまでの現在は、もう古いものでしかなく、かたっぱしから忘れ去られ捨てられていく。戦後の50年はその証明だった。

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(以上2作品日本語の外へ』(角川文庫より)

世界貿易センターがテロ攻撃によって崩壊した時、「これは戦争だ」とアメリカ大統領は直ちに宣言した。世界というものを認識するとき、アメリカの人たちがもっとも得意とする思考方法は全体を「自分たち」と「奴ら」との二つに分ける単純な二分法だ。それは戦争だけではない。アメリカの歴史をたどれば、その思想が軍隊そのままであることに驚かされる。

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(以上1作品影の外に出る〜日本、アメリカ、戦後の分岐点』(NHK出版より)

中高年の失職と再就職の不可能に近い困難さは、それまで続けて来た仕事、つまりその領域が必要とされていた時代の、終わりを語っている。若年層の就職難は、戦後というひとつの時代のあとに来るべき新しい時代が、まだなにも生まれてはいない事実を示している。戦後の日本というシステム全体の作り直しと入れ替えは、1970年代にやっておくべきだった。

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日本の国家運営は失敗の連続だったが、それが自分たちの権力や利益と結びついている、という大矛盾を根源的な発生源として、そこからありとあらゆる矛盾が、次々に作り出されてきた。戦後の日本は、およそ考え得るすべての矛盾の、複雑きわまりない集合体だ。

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(以上2作品自分と自分以外──戦後60年と今』(NHKブックスより)

2022年8月5日 00:00 | 電子化計画

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