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小説『コミックス作家 川村リリカ』より4作品を公開

小説『コミックス作家 川村リリカ』(中央公論新社/2020年)より4作品を本日公開いたしました。

駅を出て夕方の豪雨のなかを七歩だけ走って喫茶店に入り、深煎りのコーヒーを飲みながら編集者でもあり友人でもある女性・野崎百合子を待つ若い女性・川村リリカ。このシチュエーションは漫画の材料に使えるかもしれない、と打ち合わせ前に考えるのはいかもにもコミックス作家らしい姿だ。二人で打ち合わせを兼ねた食事をしたのち、リリカはこれからビジネスホテルに缶詰となり、明日締め切りの漫画を仕上げなければならない。

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年末、リリカと編集者の百合子は、年始までに描く作品のアイデアを食事をしながら練っていく。百合子がA4の紙に手書きした三行の言葉——厚切りハムカツ丼セット。貝柱のミニかき揚げ天と春菊天。ポテサラ天のせカレーうどん。「なにか閃くか」と聞き、「すでに閃いてる。絵で見せよう。いけるよ、これは。これだけで充分だな」と答えるリリカ。男言葉でやりとりをしながら、いくつかの作品のアイデアとタイトルが次々と決まっていく。

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「ひとりの男の過去をふまえつつ、現状を厳しく見ながら、主として経済的に、これからを見つけていくには」という百合子が提案した企画の取材のため、下北沢の喫茶店オーナー・高田に会いに行くリリカ。71年生まれの彼は、自身の人生の転機であった25歳からの20年が、そっくりそのまま日本の失われた20年と重なる。これからの時代について彼は「この先にあるのは荒野だ。しかしその荒野は俺を誘惑しているよ。強がりも含めて」と語り、リリカはその言葉から、この企画のタイトルを思いつく。

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下北沢の喫茶店オーナー・高田に紹介された作家・島崎を待つリリカと百合子。彼は長編小説『団塊』をこれから書こうとしており、そこに登場する父親はリリカの父親ともそっくりだ。リリカが描く予定のコミックスには、彼の話も取り入れながら、かつ彼自身を実名で登場させることで承諾を得ている。やがて島崎が合流し、これも高田から紹介された弾き語りをする女性・山科玲子や、今は水彩画の先生をしてるというリリカの母親のことなどへと話がつながっていく。

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2022年7月1日 00:00 | 電子化計画

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