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評論・エッセイ

日本語が消えていく

 戦後から現在までの六十年近い期間のなかを、日本は五年きざみで激変を繰り返してきた。人も社会も五年ごとに、それまでとは質もかたちもメカニズムも、まるで異なる別のものへと転変していった。焼け跡からの復興、高度成長、バブル、その崩壊、そしていまにつながる不況、という五十数年だったが、この年月のなかで十回以上におよぶ質的な激変を、日本は体験した。
 激変とは、それまであったものがすっかり消えてしまい、そのかわりに新しい別のものが急速に普及していくことだ。生活のあらゆる領域で起こり続けたこの激変を、進歩や向上そして発展だと、誰も…

底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年

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