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評論

通訳は位置についたか

 早くも十年は前のことになるかと思うが、G5会議の様子が報道されるのを、僕はアメリカのTVニュースで見た。ヨーロッパのどこかでおこなわれた、確かG5の会議だった。荘厳な建物のなかの、もっとも広くて威厳に満ちた部屋に、G5である五人の男たちが入っていくところが、TVの画面に映し出された。
 彼らが部屋に入ると、その部屋の天井に取り付けてあるカメラへと、映像は切り替わった。大きなテーブルを囲んでいるそれぞれの椅子に向けて、男たちは歩いた。彼らが六人であることに、僕は気づいた。六人くらいの数なら、画面をひと目見て、あ、五人であ…

底本:『日本語で生きるとは』筑摩書房 1999年

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