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評論・エッセイ

ピーナツ・バターで始める朝

 ピーナツ・バターとの久しぶりの再会をいま僕は楽しんでいる。10年ぶり以上、15年くらいにはなるかもしれない。しかし20年にはなっていない。などと言いながら、10年や20年、あっと言う間だ。
 うれしい再会だから、なかに詰まっている淡い褐色のピーナツ・バターが見える透明な瓶を、思わず指に力を入れて持ったら、親指側とその反対の中指側とで、それぞれ数ミリずつ瓶がへこんだのには少なからず驚いた。そうか、かつてはガラスの瓶だったきみも、いまではプラスティックなのか。かつてのガラス瓶はごく平凡なものだったが、縦横と直径の相互比率が…

底本:『ピーナツ・バターで始める朝』東京書籍 2009年