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評論・エッセイ

ノートブック

 五月はじめのタヒチ。快晴の一日がほぼ終わり、太陽が海に沈む時間がはじまろうとしていた。
 ホテルのプールサイドから、人々は部屋にひきあげていた。シャワーを浴びてひと休みしてから、夜の服に着がえるのだ。
 プールのわきに、きれいな芝生の庭園があった。熱帯樹や椰子の樹が配置よく植えてあり、白く塗った丸い木のテーブルと椅子が、そこかしこに置いてあった。
 淡くオレンジ色に変わった太陽が、斜めに照っていた。
 ひょろっと高い椰子の樹が、芝生に、長い影を落としていた。影は、ぼくがすわって…

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