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エッセイ

湯麺がひとつ本棚にある

 南口にくらべると北口の商店街は静かだ。歩いている人の数が少ないし、若い人たちをまったくと言っていいほどに見ない。なぜそうなのか、僕にはよくわからない。南口だけで人々の用はほとんど足りているからではないか。僕が子供の頃は、北口と南口は両方とも平均して賑わっていた。
 静かな北口の商店街は、南口のそれにくらべると、変化が少ない。変化はまったくない、と言ってもいいように思うが、つい最近まで営業していた、氷屋、硝子店、畳屋、豆腐店、古書店、そして銭湯が姿を消した。客が来ないから閉店したのではなく、どの店も勤勉だった店主がついに引…

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