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エッセイ

ナポリタンのウィンドー・サンプルを探す旅

 ずっと以前にアメリカで食べたステーキをいま思い出している。ステーキそのものではなく、そのかたわらに、確かレタスを大きく敷いたその上に、スパゲッティが、僕の掌に山盛りほどの量で、そえてあった。そのスパゲッティのことをいま思っている。あのようなものも、付け合わせと呼ぶのだろうか。
 太さだけで言えばスパゲットーニだが、白くて表面はつるつるしていて、したがって、トマト・ソースになにか手を加えたソースは、まるでからんではいなかった。自分の表面にソースを引きとめておくだけの能力が、アメリカン・スパゲッティにはないのだ。材料に使っ…

底本:『ナポリへの道』東京書籍 2008年

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