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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

大瀧詠一追悼 物語はこのように始まり、このように終わる 成瀬巳喜男をめぐる 第三回

 平日の朝、ハルオは登校していく。彼以外にも子供たちが何人か歩いている。学校に向かっているのだ。そしてその学校は京橋小学校だ。昭和三年に開校したこの小学校は平成四年に廃校となった。ハルオは半ずぼんに長い靴下を履き、学童服を着てランドセルを背負っている。左手には上履きを入れるための、紐のような持ち手のついた縦長の袋を持っている。登校していく彼の姿が画面のいちばん右端にあるとき、ほんの一瞬としか言いようのない短い時間、京橋小学校という門札が画面の左端に見える。映画館のスクリーンで見た観客たちは見逃したはずだ。画像をモニターに静止させ、影に…

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